始まりはグラサン

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「お邪魔しまーす。」  オートロックの15階建マンション。その15階。徒歩2分というか、学校から道路挟んで向こう側ただから実質2分のうち1分はエレベーターに乗ってる時間と信号待ちの時間だった。  至って普通の俺でも一つ特徴がある。それは貧乏であること! 兄と姉が一人ずつ、妹が二人の計五人兄弟だ。食事時は戦争だし、服も勉強机もお下がりだし、2Kのボロアパートに両親含めて7人で住んでいる。両親は悪くない。毎日仲良く、そして一生懸命働いてくれている。この貧乏生活も不満はいっぱいあるけどワガママは言わずに過ごしてきた。    だがこの差はなんだろうか? グラサン宅、推定5LDK、築数年未満、N○Kは必然的に衛星料金だろう。こんな俺が足を踏み入れていいのか!? そんな事を考えて無駄に緊張して玄関で固まっていたらグラサンがスリッパを出しながら首を傾げた。 「ん?どうかしたかね?」 「あ…いや綺麗で広い家だなーって思って。」 「そうか? まあほら入りたまえ。」  こいつの口調はどこへ行くんだ…。ム○カ? それよりもこんな素敵なマンションに圧倒されてる場合じゃない!! 本来の目的は素顔を暴き謎を解くこと! さあ、グラサンのご家族に挨拶だ!!
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