始まりはグラサン

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 まずはダイニング。木目調のダイニングテーブルに、名前の知らないピンクと白の花が飾られていた。そして綺麗なカウンターキッチン。美人なママがいて美味しそうな匂いを放っていそうだが、誰もおらず。  そしてリビング。四人掛けほどの大きいソファがL字型に置かれている。その向かいには52インチほどの大きなテレビ。ここにも誰もおらず。それどころか、どこの部屋からも人の気配はしない。 「ソファーに座っておいてくれ。今テレビをつけようではないか。」 「ありがとう…。ところで家族はまだ帰ってこない?」 「ん? 一人暮らしだが?」  !?!?!? 「えっと…一人暮らし? 聞き間違いかな?」 「高校生で一人暮らしがそんなにおかしいであろうか?」 「いやいやいやそうじゃなくて、この広い部屋で一人暮らしなのが…さ、寂しくないかなーって…。」  おかしいとか言ったら貧乏がバレてしまう。それに自分の生活をアレコレ言われるのも嫌かもしれないし。 「ふむ、特に思ったことはないな。ああ、コーヒーと紅茶と緑茶どれが良いだろうか?」 「そうなんだ。あ、じゃあコーヒーで。」  テレビをグラサンがつけてコーヒーを入れにキッチンに立った。そうして見ると、サンプラ○中野がキッチンに立ってるようにも見える。さあ、そろそろ本題を聞くんだ。グラサンを取ってくれと。なぜ制服を着ないのかと!
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