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「で?俺たちを呼んだのは何で?」
匡夜が鋭い目で見ると組長もといこの8人の兄弟の父、花桐都ノ介はハァ…と溜息をついた。
「お前達さぁ…世間知らずにも程があるっていうか…もうパパ心配で。」
と、いきなり呆れ果てた顔で少し涙目な父親を前にして息子達は表情1つ変えなかった。
「いや、俺は今ちゃんと仕事して部長にまでなってるんだからなこの若さで!」
「暁耀今何歳だ。」
「…は?21」
「………確かに若いな。」
何なんだよ!…と心の中でツッこむ暁耀。
「で?本題は?」
空芝居をやる父親に少し苛立ったのか、匡夜は眼鏡をクイっと押し上げ鋭く睨む。
「…ん。単刀直入に言うと、
お前ら、明日から8人で暮らせ。」
「「「「「「「「…え!?!」」」」」」」」
「大きめの家を買っといたから、暁耀。お前長男なんだから弟達の面倒ちゃんと見ろよー。
もう少し世の中を知ったら帰ってきて良し!」
「「「「「「「「はああぁ!!??」」」」」」」」
「兄弟で協力してちゃんと生活するんだぞー。」
いつもながらに思う…父のこの突発的な思考はどこからくるんだ……。
と、この時ばかりは兄弟全員の心が1つになった瞬間だった。
〈井藤side〉
そして、時は一気に駆け抜けて、1年後ーー
暁耀は22で家事全般がパーフェクト。
留季は引き篭もりが悪化。
轟はオネエのバー店員2年目。
匡夜は高校3年に上がり、春虎は高校2年になった。
光大と蒼大の双子と累は高校入学…と、
なんとなく兄弟8人の生活に慣れた頃、土曜日のある休日の日に兄弟が暮らす家のインターホンが鳴った。
「暁耀の若、お久しぶりです。お元気そうで。」
「……井藤。何でお前がここに…って…ん?」
と、暁耀が井藤の後に誰かいるのに気が付いた。そして、嫌な予感しかしない…。
「はい。新しい兄弟ですよー」
「軽いな!!」
と、井藤が連れてきた新しい兄弟という綺麗な顔をした男の子が暁耀をじっと見つめた。
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