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「ねぇ、あのおっさん。きもくね?」
「しっ。聞こえちゃうよ!」
私はその言葉に耳を疑った。
な、なに?
私を――”きもい”だと?
そんな言葉をかけられたのは、人生で初めてだった。
私はこう見えて、自分で言うのもなんだが、社内イチのイケメンだエリートだ何だと呼ばれており、常に女性が寄って来る。男としても憧れます、と言ってくる年下の部下は数知れない。
もしかすると――汗臭いのか?
私は自分の腕を嗅いでみた。
別に、臭うことはないが、念のため、コロンをプッシュしておくか。
バーで知り合ったホステスの麗子に、誕生日にプレゼントされた物だけどね。
さて、会社へ到着した。
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