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念のため、あとでメールで聞いておこう。対応が後手にならぬように。それに今夜は、単に予定が合わないだけの事かもしれないしね。
――いや、彼女だけではない。
会議室へ向かう途中、すれ違う者は皆よそよそしい。
気のせいだろうか?
そのとき、直属部下である田島が、廊下の向こうから歩いてくるのが見え、私は「田島!おはよう」と声をかけた。
彼は周囲から『桐谷教』と揶揄されるほど、私に慕っている部下だ。
いつもなら、このあとの展開は、
目頭を熱くし、直立不動のお辞儀をし
「おはようございます!いやぁ課長、今日も格好良いッスね~。それにしても僕と同じスーツを着ているのに、着る人によって、こうも差が――伝々」
的なセリフが来る。
しかし、彼は私を見ると目を丸くし
「あ、課長――え?お、おはようございます・・・」
もじもじとした。
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