第1章

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「天空橋」 やたらロマンチックな駅名だ 改札を出て右に曲がりエスカレーターを上って地上に出ると、すぐにキミは驚いた様にこう言った 「キレイ…」 天空橋を出て右を見れば一面に広がる羽田空港…羽根を休めたジャンボジェットが並ぶ姿が見える夕焼けはそろそろ終わり、蒼い空に変わろうとしていた 「なーんかバカみたいだろ?」 「何が?」 強く吹く風になびく髪を押さえながらキミが答える 「色々悩む事だよ」 「知ってたんだ…」 飛び立つジャンボジェットを見ながら、キミはそう言ってうつむいた 「知ってたさ…キミが好きだからね」 俺がギザっぽく言うとキミは笑った 「私も知ってた」 「何が?」 「アナタが私を好きな事」 キミはそういたずらっ子みたいな顔で言って俺の手を握った 帰りは遠回りして帰ろう…京急蒲田までゆっくり歩こう… だっていつか俺とキミは天空橋の先からジャンボジェットで旅に出るのだから…さっき見たカップルの様に… 今日は歩いて帰ろう… 沢山話そう、次に京急線の羽田空港行きに二人で乗るまでの二人の事を…
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