第1章

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品川駅…待っている羽田空港行きの電車はやって来ない 「これで良いでしょ?」 入って来た電車を見て、膨れ面のキミが言う 「それ浦賀行きだよ」 俺は冷静に答える 「次が羽田空港行きだって」 アナウンスを聞いてキミが言う 「青物横丁?八百屋さんがあるの?」 電車に乗るとキミは少し機嫌を直した、京急は駅名が独特だ、キミは楽しそうに駅名に目を輝かせてる 「大森海岸?ここ東京だよね?」 「昔海岸だったんじゃない?」 俺が言うとキミは「ふーん」って答えた 「ねぇ…」 京急蒲田手前でキミが言う 「ここで羽田空港行きに乗り換えられるってよ?さっきの浦賀行きでも良かったんじゃない?」 「でも座れたんだから良いじゃん」 俺が笑うと「そうだけど…」とキミはまた膨れる 羽田空港に向かう車内は知らない言葉が多い 「なぁ…」 「なんですか?」 ため息まじりにキミが言う 「どこの国の人かな?」 楽しそうに話す外国人カップルを見ながら言う 「東南アジアじゃない?そんな感じじゃない」 「新婚旅行かな?」 「そうなんじゃないの?」 キミは座り直した 電車はそろそろ穴彫り稲荷を越えようとしていた 「次で降りるよ」 俺が言うと「やっと?」ってキミが答えた
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