7、 「実験」と変化する「日常」

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10月19日 「あの……」 そんな風にしてアイが料理中の僕に声をかけてきた。 僕は彼女が話しかけるだなんて想定の範囲外過ぎて自分でも随分と間抜けな声で返事した。 すると毎日、料理の基礎を読んでいるアイが。 切る時、「手はこう」するんじゃないんですか? なんて「猫の手」を作って切る真似をしながら聞くから、思わず笑った。 気にしたこともなかった。 アイ、大根を真っ二つに切るのに、猫の手は逆に危ないと思う。 皮を剥いて縦にこうして半分に切ってから猫の手じゃないかな。 「あ……」 本当に何も知らないアイ。 学生の時、調理実習で米を洗う時に洗剤で洗ってしまうやつがいたことを、ふと思い出して苦笑いした。 もう少しで二ヶ月になるが、抵抗もなくアイはいい子で。 距離感がだんだん近くなったと感じる。
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