7、 「実験」と変化する「日常」

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12月4日 三ヶ月が過ぎた。 アパートはやはり冷える。 僕はアイに可愛らしい靴下を与えた。 ふわふわとしていてあたたかそう。 そうだ、昨日。 アイが初めて僕の名前を呼んだ。 「ナオさん……」 小さな声だったが嬉しかったと同時に、 ああ。 偽名を教えたんだったな。 と複雑な気分になった。 昔から僕の漢字「尚」を、しょう、と呼ばずに、ナオ、と呼ばれたことがあったために思い付きでアイに教えたんだっけ。 そして、 「私も料理がしてみたいです」 と言い出した。 今、包丁を持たせても平気だろうか。 アイも僕の名前を呼ぶくらいだし。
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