7、 「実験」と変化する「日常」

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12月6日 15:08 普段は別に何も言わないくせに。 玄関を開けた瞬間に、アイが初めて、 「おかえりなさい」 なんて声をかけた。 僕はびっくりして慌てて「ただいま」と返す。 こんなことで僕は嬉しいだなんて思ってしまった。 買い物してきた袋を渡し、 確認してみて。 と言うと、1つ1つ「玉ねぎ」だとか「ジャガイモ」だとかわざわざ口に出して並べている。 あ……これは? アイが不思議そうな目で僕を見た。 それはセロリ。 それも入れるといいらしい。 意外と僕も楽しみにしていたのだ。 メモを見た時に、ビーフカレーか。 と携帯で色々検索したところ、それを入れているレシピが結構あったために追加してみた。 アイはそれを、これどう使ったらいいかわかりません。 またあの目で僕を、そろっ、と見つめたのが可愛くて。 「それはそのまま鍋に入れるんだよ?」 なんて嘘を教えてみた。 「ああ、そうなんですね」 普通に信じちゃうアイに笑いながら、 「ごめん、うそ、それは僕が下処理して切るよ」 と言うと、アイは少しムッとした表情をした後、 「ナオさんは意地悪です」 なんてまた可愛い顔で、可愛いことを言う。 ああ、楽しいなぁ。
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