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「私、30超えてないから!」
「あっ、そうなの?」
それは本当だ。だってまだ29歳。30歳になるにはまだ半年はあるんだから。
「それにつまみ食いされて喜ぶほど、男に飢えていない!」
「……ふーん」
これは嘘だ。彼氏だって随分といない。
3年前に社内恋愛をして破局してからそのままずっと一人だから。
さっきの”彼氏いないなんて言ってない”発言はただの見栄だ。
「という事で、他をあたってちょうだい!以上!さよなら!」
繋がれていた手をブンブンっと振り払って離そうとした。
すると、簡単に離れた手に「あれ?」っと名残惜しく思ってしまう。
もうちょっと粘ってほしかったと思う自分が無性に恥ずかしい。
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