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少年はタクシーに乗れることがわかるとそそくさとタクシーを拾い、ワンコのように忠実になる。
私の鞄を持とうとしたり、「さっきまでお酒は回っていたけど大丈夫?辛くない?」などの気遣うような言葉をかけてきたりして、媚びを売ってくる。
「もうあからさま過ぎるから。さっさと目的地言って。先に帰っていいから」
「はーい。ありがとー」
緩い返事で返され、その歌うような声にまた「はいはい」っと返事をしてしまう。
タクシーの窓から流れる灯りに照らされながら、どこまでも笑顔のこの子の横顔を見て浅い溜息をつく。
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