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視界を覆い尽くすのは、長い睫毛が伏せられて吹き出物も一つもなく、目の下のクマさえない少年の綺麗な顔。
この子はしっかり唇を合わせると、ゆっくりと離れた。
「いっぱい奢ってくれたお礼。本当はもっとサービスしたかったけれど、オネーサン遠慮するタイプみたいだから、分割で払うね」
そしてチュッと軽く音を鳴らせてもう一度キスをすると、後部座席から降りていく。
私に満面の笑みで手を振ると、鼻歌を歌うくらいご機嫌にマンションの中に入って行った。
「……んっ?えっ?私……何された……?」
呆然としながら唇を指先で押さえる。
そこにはまだ微かに久しぶりの感触が残っていて、甘い違和感でいっぱいだった。
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