第1章

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私の父は現役公務員だ。 幼少時代の父の印象は、口うるさく、真面目で、優しいけどどこか鬱陶しい。 そんな感じだ。 高校卒業と同時に自分も公務員になった。 大学に行くほど知的好奇心もなかったし、何より家を出て口うるさい親から離れたかった一心からだった。 どこかに"父を越えたい"という気持ちもあったと思う。 だが結局、6年でやめてしまった。 私の所属は、地理的にも金銭的にも縛られていたからだ。 当時はそう思ったが、もっと努力しようと試みれば続けることもできたであろう。 公務員を辞めたあとは酷いものだ。 私自信の要領、知能、性格の悪さが仇となり職を転々としていた。 今は熱心に指導してくれる上司に恵まれ何とか食らいついている。 そんな今だからこそ、長年公務員勤務をしている父が大きく思える。 反面、父から受けた堅苦しい教育で培った自分の堅苦しく融通の効かない性格が邪魔して物事が上手くいかないことが多い。 多大な恩よりも、その一点の恨み。 公務員で成功している父への妬みが強いと思う。 それでも・・・・・・・あの父に勝てる気がしない。
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