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深い霧の中にいた。恐らく人生最大になる後悔の直後だった。
(確か、オイラは泣き疲れて倒れて……)
なら、これは夢なのだろうか?記憶にない景色だった。
(夢の中でまでも後悔か……)
それだけの事をした思いと夢くらいはと思う甘さが心に浮かんだ。
こんな気持ちになるのも先から聞こえるこの歌のせいだろうか?
さめない霧の中、一人の男が心を直接ぶつけた様な熱のある歌を響かせていた。
「ーーー勉強もろくに出来なくて、泣いてばかりのガキでしたーーー」
悪い気はしない。むしろ叫ぶ様に歌われる謝罪と決起の歌がオイラのそれを代弁
してくれた様にさえ思え、気付けば涙が仮面の下を流れ、自然と手を叩き賞賛していた。
「!!」
その時、オイラの隣にもう一人曲を聴く者がいた事に気付いた。
それも、オイラのよく知る人物。
そこにいたのはオイラと違う判断をした俺自身だと直感する。あの後悔以来仮面をした
オイラがこの下に同じ顔を持っているなんて彼は思いもよらないだろう。
一言二言の会話で分かった事は彼が幸せである事。とても……とても羨ましかった。
ただ、それ以上に、オイラはその笑顔に救われた気がした。
今度こそ、探しだそう……オイラにもどこかにあるはずの彼に負けない明るい道を……
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