好きで、嫌い、でも大好き。

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 しばらく無言で歩き続け、とある公園の前を通りかかった。 「少し、休んでいこう」  ようやく、優也が口を開いた。  二人でベンチに座る。  微妙な距離感。  離れすぎず、近すぎず。  俺はもう少しだけ近寄りたい。 「何か話があるのか?」  優也は俺の方を向かずに聞いた。 「……多分、引くと思う」  うつむき気味でそう応えると、優也は軽く笑った。 「そんなわけねーよ。俺とお前の仲だぜ?絶対にありえねー」  そう言った優也の顔は笑っていたけど、ふざけてはなかった。  俺は勇気を出して、告白した。 「俺は…優也が大好きだ。…友達としてもだけど……!!」  気付いたら、優也の顔が目の前にあった。  やや遅れて、唇が塞がれていることにも気付く。  そのまま、数秒が過ぎる。  ようやく離れた優也の顔は、いつになく真剣だった。 「俺も大好きだ」  俺は、少しの間呆けていた。  優也の言葉の意味が理解できるまで相当な時間を有した。 「ほんとうに?」  ようやく理解できた俺から出てきたのは、確認の質問だった。  優也はそれに「あぁ。」と短く返しただけだったが、表情は相変わらず真剣だった。 「やっぱり、優也には敵わないな」 「え?」 「…何でもないよ」  そう言って俺は立ち上がり、出口へと向かう。 「優也ー。早く帰ろう?」  俺は笑顔で振り返る。  優也も割り切ったのか、隣まで走って来た。  俺と優也は並んで帰った。  二人の距離は少し近づいていた。
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