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《ありがとう。大丈夫だよ。今日バイトで気分転換してきた(笑)また遊ぼ♪》
返信し、スマホをカバンにしまう。
昔、悩んだ時に真っ先に頼る相手は心晴だった。一番の女友達で親友だから。今もそれは変わらない。……そのはずなのに、今、心に浮かぶのは心晴の顔じゃなかった。
「凜翔に会いたい……」
嫌われているのかもしれなくても、好かれてなくても、いい。それは仕方ない。ただ私が、ワガママに彼と会いたいーー。
凜翔と初めてデートして、その後、望んでもないのに彼はしょっちゅう目の前に現れた。今こそそういう偶然を強く求めているのに、望む気持ちの大きさを反映しているかのように、都合のいい偶然は起こらなかった。
会えない日々の数だけ、凜翔への想いは膨らんでいく。
好き。会いたい。愛されたい。できることなら同じ想いを返してほしいーー。
どうにもならない気持ちを持てあます一方、本音をかき消すように日常を送った。色のない時間が過ぎていく。
優(ゆう)も、私と付き合ってる時、こんな気持ちだったのかな。繋がっているようで一方通行な恋。そんなの、つらいに決まってる。離れることを選んだ優は、正しい。
だったら私も、凜翔のことは忘れるべきかもしれない。次はまともな恋愛をしたいから。
頭では追ったらダメだと分かる。だけど、心は正直だった。凜翔に選んでもらった服を見るたび、好きの気持ちは縮むことなく膨らんでしまう。一緒に楽しく買い物や食事をしたこと、凜翔の表情、車の中で感じた優しい匂い、凜翔の手のぬくもり、全てが昨日のことのようによみがえる。
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