出会いの春。

9/9
前へ
/195ページ
次へ
. 「鍵閉めんぞぉー」 「行こ!」 「は?」 蒼井さんは何事もなかったように、出口に向かって早足で歩いて行く。 よく理解出来ないまま、俺も慌てて後を追い掛ける。 「先生さようならー」 「お前ら二人で何やってんだ?」 「えっと…残って練習してました」 「お前は?入部希望か?」 「あ、いや…」 下駄箱の前で先生にそう聞かれて返事に困った。 はっきり違いますって、言えなかったんだ… すると蒼井さんが靴を履き替えながら「この子は違います」と、俺の代わりにそう答えた。 「そうか、戸締まりはしたか?」 「はいしました、先生さようなら―」 「気を付けて帰れよ?…って、オイこら蒼井!ボールしまってけ!」 「さようならー!ほら、逃げろ!」 「えぇっ!?ちょっ、うわぁっ!」 先生が怒鳴り出した時には、俺は蒼井さんに手を引かれて、なぜか一緒に走ってた。 つーか一体何なんだよ? 本当に勘弁してくれ… .
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加