愛車とラーメン屋。

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. 「ご馳走さまでーす」 「んー、おし、じゃ駅までもう一踏ん張りしよっか?」 「はぁ!?俺足もうパンパンだって!」 「はい、文句言わなーい」 「は…?」 ラーメン屋を出ると、蒼井さんはまた自転車の荷台に跨がって、俺に漕げって命令する。 「…はぁ?っつうかマジで無理…」 腹も一杯だし、さっきのでもう既に筋肉痛だぜ? 鬼か?鬼だな、この人。 「んだよ、情けないなぁ…しょうがない、今日だけ特別だよ?ほら…乗れよ」 「ウソ?マジで?」 「マジで」 うなだれた俺を見かねたのか、蒼井さんは荷台からサドルに移動して俺に後ろに乗るように促した。 あー良かった。何だろう、理不尽だけど、何かおかしいけど、この人が急に神様に見える。 「お願いしやーす」 「OK?掴まって!行くよ!」 蒼井さんが、俺を乗せて走り出す。 「ちょ、待った!いきなり立ち漕ぎ!?」 「あったり前じゃん!鍛えてるからね!」 「うわぁっ、怖ぇー!待ってもっとゆっくり行って!振り落とされるから!」 「だからちゃんと掴まってろっつってんの!」 さっきまで「疲れてるから漕げない」とか言ってたクセにさ? 蒼井さんは、俺の右手を掴んで、自分のウエストの辺りに掴まらせて勢いよくペダルを漕いだ。 男の腰に掴まるなんて情けなかったけど。 でも見た目よりガッシリした感じで、確かにこっちの方が安定するから 俺は素直に、蒼井さんの腰にしがみついた。 .
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