俺達に吹いた、風。

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. 「もーりやーまく~ん?いるぅ?」 アイツ、また… 「おい、ハル?」 「ん~?」 休み時間。 机に突っ伏して居眠りしてるハルの肩を軽く叩いて起こしてやる。 「またアイツ来てんぞ?」 「はぁ?またぁ…?」 両手で顔をゴシゴシと擦りながら、まだ眠たそうなハルが、教室の入口でニヤニヤしながら手招きしてるアイツを面倒臭そうに見る。 ここんとこ一日一回は俺らの教室に現れるアイツ。 蒼井誠人… 「追い返そうか?」 「あ、いや…大丈夫、俺行ってくるよ…」 そう言ってダルそうに立ち上がって渋々アイツの所に行くと、アイツは馴れ馴れしくハルの肩を組んだ。 「森山くん、今日も朝練来なかったね?俺駅で待ってたのにさぁ」 「はぁ?だから7時とか無理っつってんじゃん…」 「だってマネージャーでしょ?俺の。 朝練来なきゃマズイっしょ?」 「だからそれは蒼井さんが勝手に決めたんじゃない?」 そんな会話が聞こえてきたかと思うと、肩を組んだままハルを廊下へ連れ出した。 . 「マネージャーやるのかよ?」 「やらないよー…んなの面倒臭いし…」 始業のチャイムが鳴って、教室に戻ってきたハルに聞くと、そう答えてハルはまた、ダルそうに机に突っ伏した。 『アイツ一体何なんだよ?』って、聞いてみようかとも思ったけど ハルに聞いたって仕方ないから、止めた。 .
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