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平凡すぎて、つまらないと人は言うかもしれない。
だけど、そんなつまらない日常を私はなによりも欲し、失うことに怯えていたから。
振り向くと、二組の両親が自分たちを見つめていた。
視線を合わすと、お母さんが頷く。
お母さんは、私の気持ちに気づいていて、なにも言わずに居てくれたのだろう。
そして、気づいた。
綾子の側に居る男性に見覚えがないことに。
綾子とは関係ない人かと思っていたが、仲良く話している。
私は自分で頑張るから、とあのボルダリングの帰りに彼女は言った。
あれからずっと、綾子は戦ってきたのだろう。
ほっと胸のつかえが取れて、今度こそ、本当に泣いてしまった。
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