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日本植物学の先駆け、A氏の手記だった。
A氏は、ライフワークである熊野の植生の調査のため、深い山に分け入っていた。足下を見ていることがほとんどだが、ふと木立が開けた場所で遠くを見遣ると、尾根の一部にやけにキラキラ光る場所がある。局所的に雨でも降ったか…。その時はそう思った。
しかし、調査で山に入るたび、その場所が光っているのが見えた。人がいるような場所ではないし、建物もない。
その辺りの山のことは何でも確認せずにはいられない。A氏は、そこへ行ってみることにした。
コンパスを頼りに、方角を確かめながら、途中テントを張ってひたすら光の正体を知りたい一心で歩き続けた。
そして、鏡の葉と出会った。
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