思い知らされた現実

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その日も、いつもと何も変わらない1日だった。 だが、何事もなく、当たり前に明日を迎えるはずだったその日は、突然一変した。 いつも通り友達とLINEのやり取りをしていると、どこからともなく、地鳴りのような音が聞こえてくる。 ――ゴゴゴゴゴゴ―― 何の音だろう、と思ったのも束の間、目の前がグラリと揺れた。 地震だ。そう思って、テーブルに掴まる。しかし、揺れは収まるどころか激しさを増していった。スマホから、緊急地震速報が鳴り響いて、恐怖に身体が固まる。 ガタガタとタンスが音を立て、テーブルが倒れる。それでも揺れは収まらず、私は声にならない悲鳴を上げた。 ほんの数分の出来事だったのだろうけれど、私には何十分にも感じた。 揺れが止まった後も、身体が震えて身動きが取れず、その場に蹲る。 やがて部屋の前にバタバタという足音が聞こえ、お母さんが顔を出した。 「外! 外に行くよ! 余震があるかもしれないから気を付けて!」 急かされて、スマホとバッグを手に、お母さんとお父さんの後を追った。 外には近所の人たちで溢れていて、みんな不安そうにしている。 お母さんは、お隣のおばさんと、お父さんは近所に住む職場の人と話を始めた。 そうしている間にも、スマホからはLINEが来たポーンという音がひっきりなしに聞こえてきて、私はスマホを見ることにした。 【みんな無事?】 【地震凄かったね】 【怖かった】 グループLINEは、そんな言葉で埋まっていっていた。私も、一言コメントをした後、彼氏との個人LINEを開いて、無事かどうかの確認を取ると、すぐに既読がついて、返事が返ってきた。 【こっちは大丈夫。お前は無事か?】 それに、大丈夫。と答えた所で、お母さんから避難所へ移動するように言われた。 その移動中、大きな余震が起こって、所々で悲鳴が上がる。 緊急地震速報は、色々な人のスマホから流れだし、私たちに新たな恐怖心を植え付けた。
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