思い知らされた現実

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何とか避難所に辿り着くと、お母さんは用意周到にコートを持ってきていたらしく、それを羽織わせてくれた。 そうしている間にも、小さな地震が何度も起こる。 学校からの連絡網で、明日は休みだという連絡が入り、それだけが何となく救いのように感じる。 その日は、ウトウトしては余震で起き、あまり眠れなかった。 翌日。とりあえず家に戻ると、家の中はぐちゃぐちゃで、お母さんはさっそく片付けを始めた。 食事がないから、お父さんとコンビニへ行ったが、どこのコンビニも閉まってて、開いてるコンビニがあったと思いきや、おにぎりやサンドイッチなどは全てなくなっていて、お菓子が少しだけ残っている状態だった。 何もないよりは良いと、お菓子を何個か買い込んで、家に戻る。 戻った私たちを待ち受けていたのは、困った顔の母と、断水しているという辛い現実だった。 今まではあまり気にした事がなかったが、水が出ないとお風呂にも入れないし、トイレにも行けない。何より、飲み水の確保すら出来ない。 その日は、冷蔵庫にあった作り置きや、冷凍食品をレンジで温めて食べて過ごした。 私は、この時はまだ本当の危機感を覚えてなかったのだ。 このまま、次第に復旧していくと信じて疑わなかった。 そして、そんな呑気な気分を覆す事件は夜中に起こった。 少しだけ余裕を取り戻した私は、昨夜寝れなかった事もあり、ぐっすりと眠り込んでいた。 その時、ドン! という下から突き上げるような衝撃で目が覚めた。 ――来る。 直感的にそう思うのと同時に、辺りが激しく揺れ始めた。スマホからは緊急地震速報が鳴り響く。 タンスは倒れ、昼間片付けた教科書がバラバラと机から滑り落ちていく。 私は恐怖のあまり、布団にくるまりガタガタと震えていた。 もう嫌だ。私たちが何をしたっていうの? 心の中は、そんな気持ちで一杯だった。 私たちは再び避難所へと向かい、そこで一夜を明かす。
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