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 情報保全部と作戦部のふたりがいってしまうと、クニがタツオの肩を叩いた。 「そっちは5キロプラスかよ。まいったな、罰のランニング、朝食の前にする、後にする?」  今日の座学は最新のエウロペ製兵器に関するレクチャーだった。本土防衛の決戦までに学ばなければならないことが無数にある。「須佐乃男」の操縦だけでは十分でないのだ。戦闘支援コンピュータのAIにはすべてのデータが記録されているが、すべての知識が頭のなかに入っていれば質問をする時間を節約できる。それによって友軍の兵士の命を何人も守れるかもしれなかった。ジョージがいった。 「食堂まできたんだから、後にしよう。腹が空いては戦はできぬ。日乃元ではそういうんだよね」  テルが金属製の義手でジョージの肩口を軽く突いた。 「日乃元の諺(ことわざ)なら、ここにいる誰よりも覚えてるくせに、わざとらしいんだよ」 「テルのほうこそ、手術からほんの10日で、ずいぶん柔らかに軍用義手をコントロールできるようになったな」
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