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「あの程度の料理の腕では駄目なのです。味、斬新さも含めて、食したものに未知の世界の快感を与えるレベルでなくては」
「……戻ってこれなくなりそうなので、普通の食事もあると良いかも?」
食い下がるシズにエルフィンは、シズの顔を見てそれからフフと黒く笑う。
シズは何か嫌な予感がしたのだが、逃げられないので大人しく待っていると、
「実はフィエンドに、シズの手料理を食べていいのは俺だけだと言われいまして」
「フィン……」
嘆くようにシズは恋人の名を呼んで、涙目になりながらはっと思いつく。
「皿洗いの人も必要なはず!」
「実はシズのそんな姿が見たいと皆さんにお願いしたら、快く引き受けてくれました」
「つまり?」
「シズが他の人に仕事を代わってもらうのは、不可能」
シズは真っ青になって笑うエルフィンを見て、焦ったように首を左右にふる。
「い、いやだ、だって、何で女装なんだまた!」
「いいじゃないですか。可愛いですよ? それにただの客引きですし、別に変なことをするわけでもありませんし」
「で、でも僕だって……男で」
「大丈夫、シズは可愛いから似合いますよ? 最近フィエンドとの仲が良好なせいかますます綺麗になっていますし、女装させがいがありますね」
「や、やめ、服を……アーッ」
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