俺の分まで

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夜の生活においてもそうだ。 タクミはマサトにはかなわなかった。 ユリはマサトに何度も求めた。 ユリはマサトの腕の中で幸せそうな顔で眠る。 タクミは求めてもユリは曖昧にごまかして 夜の生活を拒んだ。 何故だかわかる? それは、ユリが愛してやまないのはマサトで タクミではない。 なんだ、そうか。 僕は今日も僕を拒むユリに激昂し、ユリを何度も殴った。 完全なる八つ当たりだ。 マサト、お前が悪いんだ。お前が悪いから、ユリがこんな目に遭うんだよ。 ユリが僕の隣でぐったりしている。 どうやら騒ぎを聞きつけて誰かが通報したみたいだ。 僕はユリの寝室を出て、自室に鍵をかけて篭った。 すぐに救急車の音とパトカーの音がして、僕の部屋を 何度もノックする。 「宮原さん、あけてください。何があったんですか? あけてください。あけなさい!」 だんだんと、警官の声は怒気をはらみ、何度も何度もノックする。 僕は昨日のうちから隠し持っていたナイフをベッドの下から引き出す。 そろそろ、突入されるのかな。 「マサト、お前は本当に残酷なやつだ。」 僕はおいおいと泣いた. 「お前の分までなんて、生きてやるものか。」 そう言い、僕は胸にナイフを奥深く突きたてた。 そして、吐き出すように言った。 「ざまあみろ。」
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