2:ハンバーグの怯え

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 さと子が茫然としていると、またもやまばゆい光が現れ、光の先を見る。いたのはやはりあの老人だった。 「ラジオ体操だけであの盛り上がりには正直ガックリじゃが、ハンバーグの心を少しでも癒した。その部分は評価してやるぞ。さぁ、思う存分食べなさい」  などと言うが、先程まで友達のように仲良くしていた青年が、食べ物に戻ってしまったものを食えるだろうか。さと子はしばし見つめていた。 「安心せい。アイツは確かにハンバーグだが、今はハンバーグの中におらん」 「じゃあ彼ってどうなってるの?」 「彼はハンバーグ担当の……まぁ、妖精みたいなモンじゃ。だから、またハンバーグを作ったら、その時はまた会える。だから安心して食べなさい」  どうしても実感が湧かず、ハンバーグを見つめる。だが、お腹が鳴ると、その匂い、見た目の誘惑に耐えられず、「ごめん、いただきます!」とハンバーグを一気に食べつくした。  ほどけるお肉、溢れ出る肉汁、ほくほくとした野菜たち。美味しくて、でも大切な存在を、しっかりと噛みしめる。今まで、食べ物をこんなに味わったこと無かったな。肉ばかりが美味しいって思ってたけど、野菜も甘くてこんなに美味しいんだ。ゆっくりと何度も噛むと、不思議とお腹も心も満腹感で幸せな気持ちになった。頬に手を当て、「う~ん!」と喜びの声を上げる。頑張った後の料理ってこんなにも美味しいんだ、と。 「どうじゃ? 少しは変わった気がするか?」 「はい。1人じゃ続かないかもしれないけど、応援してくれる仲間がいるなら、頑張れそう。それに何より、ハンバーグって、こんなに美味しいんですね!!」 「うむ。今度ハンバーグに会ったらそう言ってやりなさい。きっと彼も喜ぶだろう。では、これからも精進したまえ!」  そう言い残すと、神様はまばゆい光の中に姿を消した。 「ご馳走様でした」  両手を合わせ、彼への敬意も払いしっかりと頭を下げる。何時もなら更に料理を作るところだが、今日はもうお腹がいっぱいだ。食器を洗い、風呂へ入ると、床へ着いて就寝した。 ――現在の体重101キロ
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