14:漬物達と、乗り越えたい停滞期

15/15
75人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
 カレーをかき込むと、まろやかな味が口全体に広がって言った。次に肉じゃがを食べる。これまた優しい味だ。どちらの料理にも芋が入っているので、お腹にもすぐ溜まって、ダイエットを志す者にとっては強い味方になってくれる。最後に、漬物を食べた。野菜に染みついた塩のしょっぱさが、先程の体の疲れをほぐしてくれるようであった。また、このしょっぱさが、少し涙の味と似ていて、感傷的な気持ちにもなる。きっと、あの時のぎりの助の涙はこのような味だったのだろうなぁと思うさと子。おにぎりの味付けも塩だしね。心の中で上手いこと言っていると、隣にいた神様がニヤリと笑った。 「今お前、上手いこと言ってドヤ顔したのう」 「う、うるひゃい!」  食べながらなのでつい変な口調になってしまった。かっかっかと笑う神様を無視し、水を飲んだ。全て食べ終えると、さと子は何時もの通りに両手を合わせる。 「ご馳走様でした」 「うむうむ。美味かったかの?」 「はい。やっぱり、和食も良いですね」 「そうじゃな。それじゃあ、ワシもそろそろ失礼するかの! 今回は非常に楽しかった!! 感謝する!!!」  神様は手を振り、即座にその姿を消した。全く、神出鬼没な人である。呆れながらも、さと子は微笑んだ。テレビを付けると、丁度スポーツ番組がやっており、カリー伯爵達と見ていた野球の試合のプレイバックをしていた。一度見たはずの試合なのに、再度釘づけになっている自分がおり、新聞を開くと、明日の試合の時間を調べていた。これは、次カリー伯爵に会った時にはネタが尽きなさそうだ。さと子は見事にカリー伯爵にしてやられたような気持ちであったが、すっかりと彼や、彼の大好きな野球の魅力にどっぷりとハマっていた。 ――現在の体重、76キロ
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!