16:聞いてよラーメン

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「うん、分かった。有難うおっちゃん」 「有難うってお前、如何にも食いたいですオーラ出すんじゃないよ!! 仕方ねぇなぁ」  名残惜しそうであったが、おっちゃんは鍋の中に戻ると、よせ鍋の汁に染みたラーメンへと戻った。時間はかなり経っているはずだが、麺は伸びていない。恐るべしグーグーダイエットマジック。 「いただきます!」  両手を合わせてラーメンをすする。つるんと舌触りの良い麺が喉を通っていき、喉が気持ち良い。スープもよせ鍋の魚や野菜の味が混ざっていて美味しく、芯から温まる。達海も美味しそうに食べていたが、もう少し食べさせてやりたかったな。 「ご馳走様でした」  ラーメンを食べ終え、そっと達海の眠る寝室を開ける。起きる様子は無いので、慎重に押し入れを開けて布団を食間に持っていく。布団の準備が完成すると、さと子は仁王立ちして鼻息を1つ荒くした。達海の方が気になり、物音立てずに忍び寄って顔を見てみる。改めて見ても美しい顔だ。こんなイケメンが何故この太ったOLの家で寝ているのか。奇妙な感覚だったが、たまにはこういうのも良いか。クスリと微笑むと、寝室を出て静かに戸を閉めた。 ――現在の体重、66キロ
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