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「そうか。有難う。あの日は直人が世話になった」
「良いって別に! ボクはただ、素敵なラブを見たいだけですから!!」
「この調子なの」
達海はなぽりんに一礼すると、1歩後ろに下がった。その後、サラダのサラダに何とか押してもらいながら、焼き魚のねむたろうがやって来た。
「ねむたろう、このボタン、達海の物だったんだって」
「……そんな、気はしてた」
「え、どうして?」
「焼き魚の、カン」
「何かアテにならないなぁ」
さと子が笑うとねむたろうは何時もの寝ぼけ眼を開いてさと子を見る。
「……惜しいなぁ。人間だったら、あるいは食べ物だったら、オレと」
言いかけた瞬間にスーさんとひたし様がねむたろうを引っ張った。何か言ってはいけないことを言いそうなのを察したのだ。
だが、ねむたろうはその場で口を大きく開けると、さと子に言った。
「友達になって欲しかったのに!!」
全員が驚いてねむたろうを見る。さと子はその言葉を聞いて微笑むと、ねむたろうの前まで行く。
「大丈夫。もうとっくに友達だよ」
さと子が言うと、ねむたろうは安心したように目を閉じ、眠りに付いた。
「ったく、コイツ分かってねぇなぁ。友達ってのはとっくになってるモンなのに」
「そうですね。私達が友達だと思ってること、彼は気付いてないのでしょう」
辺りに温かい雰囲気が流れる。ねむたろうに完全にさと子を持ってかれサラダは今回も出番なしかとそっと去ろうとした。その帰り道をハンちゃんが阻むと、サラダの手を引いてさと子の元へ連れて行った。ハンちゃんに勇気づけてもらったので、サラダは意を決してさと子に言った。
「さ、さと子さん! 有難う御座いました!!」
「うん、有難うサラダ」
……え? それだけ? それだけで終わり? サラダが泣きそうな顔をしていると、さと子はクスクスと笑う。
「サラダ、もっと自信を持って。そんなおどおどしてちゃ、折角の魅力が見えてこないよ?」
「魅力?」
「私が10キロ走った時、サラダは諦めさせないでくれた。歩いてでもゴールしようって、本当に嬉しかったの」
「あ、有難う御座います! もうちょっと頑張ってみます……!!」
サラダは元の場所へ戻ると、おにぎりのぎりの助が前へ出る。
「さと子さん、俺ぁさと子さんと出会えて良かったよぉ」
「私もだぁ……ヤバい、移るなぁ」
さと子は自分の頬を引っぱたいた。
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