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おっちゃんはゲラゲラと笑い、「そりゃあそうだな」と言った。
「お嬢ちゃんのことは、コイツ等から聞いてたよ。会いたくて会いたくて仕方がなかった。俺以外の食べ物も、そう思ってたみたいだぞ」
「本当に? 会いたかったなぁ」
「そりゃあ出来ない! から、俺がちゃんと土産話として持っていってやるからな!! はっはっは!!!」
おっちゃんは手を振って後方に下がる。シメとばかりに神様がさと子の前に来ると、さと子の表情も引き締まった。
「神様、本当に有難う御座いました。神様のお陰でここまで痩せられたし、達海のことも理解出来ました、ダイエットする間も、神様やみんなとわやわや出来て楽しかったし」
「そうじゃろう? ワシのグーグーダイエットは凄いのじゃよ!!」
ほっほっほと笑う神様。なんだか可笑しくなり、さと子もつられて笑った。
「じゃが、このダイエットも良いことと悪いことがある。今まで、これを悪利用する者や、続かない者もたくさんおった。その中で真面目にダイエットをし、そして彼等とも友好を深めた。お前は素晴らしい体験者であった」
「いえいえ、そんな」
「別れるのはワシも惜しい! 暇を潰す相手が1人減るのじゃから!!」
「そんな理由かいっ!!」
期待通りのツッコミに、神様はまた笑った。
「じゃが、コレもこのダイエットのルールなのじゃ。辛いが、これでお別れじゃ」
「……うん」
「それじゃあさと子、達者でな!!」
神様の言葉を最後に、食べ物男子達はいなくなってしまった。さと子は妙に広いこの部屋に寂しさを覚えた。
さと子は振り返ると、達海の方を見る。
「達海……これからも、私を支えてくれる?」
「勿論。彼等の分までな」
「お願いね?」
2人は微笑み、その後も穏やかな時間を過ごした。
1年後、さと子は何時もの布団の上に寝転がって唸り声を上げていた。耳元にはスマートフォンを持ち、電波の向こうの達海と会話をしている。
『すまん、俺の親が無茶なことを言って……。でも、俺は親と関係を切っても良いと思っている』
「そんなの駄目よ! わ、私頑張るから!! もうちょっとだけ待って、ね?」
何とか達海を説得し、さと子はスマートフォンの電源を切った。その後、大きく溜息。
「達海の彼女にするには50キロ以下だなんて……どうしたら良いのー!!」
さと子は頭に手を当ててブンブンと首を振る。
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