翠玉の目覚め

1/30
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ

翠玉の目覚め

 現在我々の生きる世界とは別の歴史を歩んできた世界がある。  異次元空間。平行世界。その呼び名はさまざまであろう。  しかし、ここには確かに我々とは違う日常があった。  その世界に存在する国、日本。海に囲まれた小さな島国。その国は海に囲まれたが故に独自の文化と規律を守り続けられた国である。  その国には、古くから伝わる不思議な力があった。しかし、それは大きな争いの道具となってしまった。国はこれを機にその力の統制を図った。  統制が行われるのは三年間。一番力の成長が見込める年代、16~18歳の間の期間。つまり、高校生に当たる期間だ。  国内に設けられたのは二つの国立高校。  東の都、東京。藤の楽園。藤苑高校。西の都、京都。桜の樹林。楼苑高校。ここで学ぶ学生たち。多くいる日本人の中で、能力を扱える才能が少しでもあったもののみが通うことを許されていることに優越感を感じているものも少なくない。  しかし、ここに日本政府の陰謀があることに気づいているものはどれほどか。  物語は冷たい風に乗って動き出していた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!