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「部長、お待たせしました。こちらのコーヒーは最近ニュースでも取り上げられるほどに話題沸騰中の"花粉症の症状を和らげる"特別なコーヒーなんですよ!」
花粉症という言葉に敏感な部長は飛びついた。
「おお!気が利くじゃないか高橋」
そんな部長にこっそりと囁くように高橋は告げた。
「実はこのコーヒーを淹れたのは私じゃなくて中村さんなんです。部長のために心を込めて淹れ直してましたので、どうぞご賞味ください」
部長室から給湯室に高橋が戻ってきたところで、二人に声がかかった。
「ごめん、倉庫で探し物をしているんだけど高橋さんと中村さんも手伝ってくれない?少しだけでいいから、ね?お願い!!」
二人が倉庫へと連れ出されるのと入れ替わりに、社長がやって来た。
部屋に入りそのまま部長室へと向かう。
「鈴木君、予定よりも早いけどお邪魔していいか?」
「社長!!すみませんお迎えにも上がらず、大変失礼しました!!」
部長室でのミーティングまでまだ時間があったはずだが、待ちきれなかったのか予定よりも早く社長が来てしまった。
「ああいかんいかん。専務に声をかけるのを忘れていた。電話で呼びつけるか?」
「とっ、とんでもございません!私がお迎えに行って参ります。そういえば社長も花粉症ではなかったですか?」
「そうだな、最近目が痒くてね。とうとう流行に乗ってしまったかな?ははは」
「社長、このコーヒーはですね、花粉症によく効くと評判の特別なコーヒーでして。そろそろ社長がいらっしゃる頃だと思って部下の中村に淹れさせたものです。私が専務をお連れする間、このコーヒーを召し上がられてください」
そう言うと急いで専務室に向かう部長。
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