2  おい、おい……、色んな意味で

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「こんにちは。今日は来てくださって、ありがとうございます」 なぜか開口一番お礼を言われて、 本来礼を言うべき立場は俺だろうと、内心首を傾げる。 だが、それはそっと胸の中に仕舞い込み、 俺は、一応挨拶と共に常識的な再確認を口にした。 「こんにちは。こちらこそ、ありがとうございます。 でも、あの、こんな風にノコノコ出て来ていながら言うのもなんですが、 本気ですか?」 おずおずと尋ねると、案内するように歩きだした彼女は 笑顔を向けて頷いてくる。 「もちろんです。奥村さんさえ宜しければ、シェアして頂ければ嬉しいです」 やっぱり俺って、男としてカウントされないのか。 寂しさ半分、くやしさ半分な気分になるが、 それでも改めて確かめずにはいられない。 「でも俺、一応、男ですよ?」 しかし彼女は、昨日と同じことを笑顔で繰り返した。 「はい、分かっています」 「だけど、なんていうか、困った事にはなりませんか?  その、ご両親とか、会社とか、世間とか……」 ところがそれに、またしても彼女は細く笑った。
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