2  おい、おい……、色んな意味で

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声には出さず呟きつつ、やや呆然と彼女の後に続く。 すると、正面玄関を入って間もなく、ホテルの受付のような場所から 中年の男性が、にこやかに彼女に声を掛けてきた。 「お帰りなさいませ、北原さま」 もちろん彼女は、当然ながら顔見知りらしく、気軽に挨拶を返す。 「ただいま、堀池さん」 そして程なく、エントランスへと入ると、 エレベーターを待ちながらぼんやりしたままの俺に 彼女が、勝手に説明を始めた。 「ここには、あの堀池さんを含む六人のコンシェルジュがいます」 「コ、コンシェル、ジュ……?」 なんか思いっきり尻込みしそうな事をサラリと口にしながら、 彼女は、扉を開けたエレベーターへと乗り込んでいく。 「はい。あの方々は、それこそ宅配荷物の一時預かりから 困った緊急時の対応まで、24時間体制でサポートしてくれるんです」 おい、おい、おい――。 ここは、お大尽館ですかぁ。 なんか、別の意味で俺の足が震えてきそうになる。
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