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2 おい、おい……、色んな意味で
夢か現か、新手の詐欺か。
それとも、やっぱり俺は、男として認識されるには、
何かが、あまりにも不足しているのか。
だがとにかく、半信半疑は拭えないながらも、
彼女からの誘いを断る余裕も俺にはないのが現実だった。
疲労と寝不足で、朦朧出勤からの終電勤務をしていたせいで、
気付けば、陽気は春爛漫。
そんな春霞の白っぽい晴天の空の下、
昼を少し前に、俺は、
少しばかりの迷いを抱えたままアパートを後にした。
典型的な郊外の町を出て、電車を乗り換えて向かうこと約一時間。
到着した、昨夜の飲みの席で彼女が指定してきた最寄り駅は、
都心のど真ん中。
「超」の付く一等地。
そして、ホームから改札へと上がっていくと、
その少し先には、すでにラフな格好をした彼女の姿があった。
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