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オルセ-・冬の夜の目眩
静かだ。
ふと、目を覚ました。が、静かだ。
障子戸が白く明るい。
夜更けだろうに、月明かりのせいか。
夕刻から、たいそうひどい降りの様だったが。
上窓の透明なガラスが、青白いスクリーンとなり、
白く小さいふわふわの小雪が、
舞っているのが見える。
リズミカルに、時に整然と。
市松模様を作りながら縦じまに形が変わり。
ゆっくりと、しかし切れ目なく、時に下から上に向かい乱舞し
またすぐに落ち着いて、静かに落ちてくる。
スクリーンに映し出される映像を、
ナレーションも音楽も無しではあるが、楽しめる。
小雪たちは次々と表れては画面から去る。
モノトーンの世界が広がり、依然として音が無い。
「まだ雪舞ってたんだ。」
そのまま暖かい布団の快い世界に入り込んでは
抜けられず、しばし忘我。
静かだ。
夢の中か、確たる記憶のないまま、定かな事は不明だ。
目は覚ましていたのだ。あまりの静かさに
自己の状態の把握に
時間を要していたのだ。
こんなに静かなのに
なぜ目を覚ましたのだろうか。
ガラス越しに見える戸外は
小雪の舞いは止んだようだ。
明るさと静けさが何倍も増している。
透明なベールですっぽり覆われてしまっている。
雪が地面をことごとく白く塗りつくし、
家も木も畑もその中に埋もれて。
音さえもそこに閉じ込められてしまっているようだ。
障子戸を通しての外は明るい。
雲が晴れて月の輝きが
冴えわたっているようだ。
が、色が無い。
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