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「ソラ、朝日が昇るよ」
犬のレイが言った。
彼のクリーム色をした、ふわふわの毛が、お日様の光でキラキラと輝いていた。
レイの隣にはグレーのしま模様の猫がいた。彼女の名前はソラ。
「まぶしいよ」
ソラは、ちらりとレイを見た。そのあとに朝日を見て、目を細めて答えた。
ふわぁーぁと大きなあくびをひとつ。
そのまま床にゴロンと転がって、また寝なおした。
部屋の中に、ゆっくりと朝日が差し込んでくる。薄暗かった部屋が明るくなる。
ソラが、いたずらに登ったり降りたりするテーブルも。爪をといで叱られたイスも。2匹の食器も。水飲み場の水も。テレビ台の上の写真立ても。
全てが明るく輝き始めた。
「ソラは本当に、ねぼすけだね」
「猫は寝るのが仕事だよ。ふわぁーぁ」
また、大きなあくび。
仕方ないなとレイは立ち上がり、寝ているソラの横を静かに通って水飲み場へと行った。
ピチャピチャと音を立てながら水を飲んで、くるりと向きを変える。
帰ってくる時もまた、ソラの横を通った。
「ソラ。今日の朝日は特別きれいだよ」
通りすがりにレイが言うと、ソラは再び目を開けた。
「……そう?いつもと同じよ」
ソラの言葉にレイは少しだけ、さみしそうな顔をした。
ソラは、そんなレイの顔を見て彼のクリーム色の毛に顔をうめた。
「ソラ?また寝るの?」
「寝ないよ。おはよう、レイ」
「おはよう。ソラ」
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