第1章

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緑の葉は光合成のための二酸化炭素を吸収し酸素を放出するという生き物の生存のための役割を担っている。とここまでは「光」の部分であるが当然次のような「影」の部分もある。 緑濃き湘南鷹取でも近年少子高齢化の波は押し寄せ朝夕にはかならず毎日と言ってよいほどあの音が聞こえるようになった。  その音は言わずも知れた「ピーポー、ピーポー」の甲高い音である。朝夕は高齢者にとって一番危険な時間帯なのだ。高齢化に伴い湘南鷹取でも一人暮らしの高齢者や、夫婦だけの世帯が多い。鷹取小学校の教室の一部は「デーサービス」等の福祉施設になっており、団地の周辺には有料老人ホームも増えてきた。日本は超高齢化社会に突入しており、待ったなしである。一番はじめに少子高齢化を敏感に感じるのは電鉄である。なぜなら、定期券が減少するのがよくわかるからである。 特に横須賀市と三浦市は人口減少が著しい。いくら、緑濃き湘南鷹取でも少子高齢化は避けられず、都心部への回帰現象はこれからも続くのである。しかし、「住めば都」であり、 高齢者は引越し等による環境の変化には対応しにくいのが一般的であり、できるだけ住み慣れた「わが街」で余生を過ごすのが一番ではないだろうか。高橋夫婦もついに前期高齢者になってしまった以上ひとごとではすまない状況になったことを自覚する今日この頃である。 しかし、高橋夫婦が若い時は子供達もいっしょ湘南鷹取に住んだのであり、家族での京急関連の施設の利用は家族の歴史にも影響を与えた。子供達の小さい時は家族みんなで、京急油壺マリンパークに行ったり、昔は存在した観音崎の海水浴場で泳いだり、初代ゴジラが上陸したと言われるたたら浜を散策してから観音崎自然博物館を見学したりしたが子供達は中学、高校に入ると京急でそれぞれの学校に通学するようになり友達との交流が主体となって、次第に家族で行くことは少なくなった。 それでも時々子供や孫達といっしょに二世代全員で京急観音崎ホテル内にあるバイキング料理で美味しいフレンチレストランの「はまゆう」に行ったりしている。京急観音崎ホテルは田舎から遊びにきた高橋の両親を泊まらせて喜ばれたこともあった。ホテル京急油壺観潮荘の海洋深層水の露天風呂で富士山を眺めたりして遊んだのもなつかしい。
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