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しかし、それでも眠っていても降りる人は薄目になったり、首を左右に動かしたりしてなんとなく、落ち着かなくなる。本を閉じたり、ケイタイをしまったり、するようになればしめたものである。
ただ、非常に込んでいる場合は観察ができないので、ある程度車内が見渡すことができるぐらいの込み合いであればこの方法は通用する。
反対に短距離通勤者は週刊誌やコミック、朝刊を読んでいる人が多い。短時間で読み終えるからすぐに次の行動に移すことができる。
二つ目は始発電車に並んで乗車する時確実に座れる方法がある。
それは、左回りの法則を活用すればよい。
人間の行動は一定のパターンがあり、駅前の商店街は駅を降りたとき必ず左側の商店街が栄える。横浜駅西口を見れば明らかである。昔、駅の右側に大型のデパートがあったがいまは大型のデパートはない。スーパーの品揃えでも左回りの法則は生かされている。つまり、人間は時計と反対方向にまわるくせがあるのだ。
したがって、始発電車に乗る時はできるだけ電車に向かって右側に並んで、ドアが開いたら、右側の方にいけば座れるチャンスが多い。
高橋は金沢八景駅で始発に乗りかえるが、ドアの前に参列縦隊で十五人ならんでいてもこの法則を利用すればチャンスが見つかる場合がある。
三つ目は車内でもドアの近くに座っている人がねらい目である。
ドアの近くに座っている人の心理としては早く降りたいと言う心理が働くのでできるだけドアの近くに座りたがる。
シートの真ん中付近に座っていると、ラッシュの場合、ドアまで行くのに人を押しのけないと出れないからである。
ただ、大変込んでいると、ドアの外に押し出される場合があるので注意が必要である。
電車の中は人生のるつぼである。
夫婦の会話、子供と両親の会話、友人同士の会話、サラリーマン同士の会話、学生同士の語らい、赤ちゃんを乳母車に乗せて、慎重に中に入る若い主婦、席がひとつでも空くとわれ先に座る中年女性、座ったら大きな声で話し出す人達、グローバル社会の延長としての外人さん、会話の内容、立ち振る舞いから見える乗客の過去と現在の縮図が電車の中で表現され、乗っていてもいっこうに飽きないのが不思議である。
電車の中という場所でそれぞれの人が勝手に演技をこなし、退場して行く。お互いに演技者であり、お互いに観客として振舞う大事な舞台なのだ。
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