古城と魔女の宴

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ただ。 興味があるだけだ。魔術と同じくらいには。 他者のもつ情報と、自分の持つ情報の交換。 それができれば、もっと多くのことを知ることができる。 知識は尊い。 そして「それを人のために使うことは更に尊い」 大好きだった曾祖母(おばあちゃん)の言葉。 その言葉を胸に秘め、諦めと少しの希望を持って生きてきた。 そんな折に、招待状が届いた。 ―――ワルプルギスの夜 それは大昔に、魔女達が集まり開いた宴の名前だ。 そして今、その宴が目の前で開かれる。 魔女達が一堂に会し、互いの秘術を明かし研鑽する。 魔術に関する知識が集まり、それを話し合える。 夢のようだ。夢のような現実だった。 その夢のような現実で、 こうして安心できるいつもの場所で、 いつものようにしていた。 絶望だ。 でも、どうしようもない。 いいのだ。絶望は嫌いじゃない。それは味わい深いから。 苦味が理解できれば、楽しむことができるようになる。 そう思うと、口の端が上がった。 さぞかし、幸薄い笑顔が浮かんでいるだろう。 そんな事を考えていると、 突然、エントランスの明かりが消えた。 ※※※※※※※※※
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