31歳、職探し中

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 赤ペンで点数が書かれたテスト用紙を、暁が端のようにヒラヒラと降る。 「俺がんばっちゃったよ。喜んでほしかったから」  そう言って照れ臭そうに笑った。最初のときのように、射るような眼差しで碧を見たりはしなくなっていた。代わりに、優しい目をするようになった。 「ありがとう」  そう囁いて身を寄せると、碧、と呟いた彼がぎゅっと抱きしめてくる。その抱きしめる強さと伝わる熱の高さに、碧は慌てて身を引いた。 「だめだよ暁、ここ学校なんだから」  おもわず先生みたいな口調で――いや、実際先生なんだけど――言ってしまうと、案の定気に食わなかったようで、暁は強い力で碧の腰を引き寄せた。見た目は華奢なのに、どこにこんな力があるんだろう。 「碧」  有無を言わせない口調。私もそんな言い方ができれば、授業中に騒ぐ生徒たちが静かになるのかな。  なんて、恥ずかしいから余計なことを考えてごまかす。キス。唇の端から始まって、だんだん深くなる。  暁ってば、歳の割にキスがうますぎる。  どうしてなの、と後でからかってやろう。そんなふうに思いながら両腕を首の後ろに回したとき。  ガラッ。  ドアが、開いた。
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