あの頃の僕らにあったもの

早く一緒にこの景色を見よう。

あの頃の話をしながら、げらげら笑ってそのとき無くした、今の僕らには必要で無くなったものをまた投げるんだ。

「……よっ………っと」
「いらしゃーい、まあ、座んなよ」
「お前なぁ……」

そうして、僕らがなくしてしまったものを今度は高いところから見てみよう。
きっといっぱい見つかるよやまっちゃん。

「ガキの頃は簡単にのぼれたのになぁ」
「ついてる筋肉があの頃とは違うのさ」
「ははっそりゃそうだ」
「しっかし、散っちまったなあ」

同じことを考えている、さすが僕の友人だ。
風にふかれて目を細める。

「それにしてもいいところ見つけたなぁ、お前」
「ほっほっほ、昔からこういうのは得意だからね！」
「そうだったな、でもこんなたけえ木、あんときはきっとのぼれなかったぞ」

確かに、つぶやいて。