あの頃の僕らにあったもの

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流れるコールを聞きながら、あいつ休みかな、なんて考える。 「……うーっす、やまっちゃん今日休みだったりする?」 『寝たい』 「天気いいぞ、カーテン開けろよ」 『俺の目は開かねえよ』 「ヤマで待ってるからさ、遊ぼうぜ」 地元の人にしか伝わらない、ざっくりとした待ち合わせ。 せっかくの休みだからダラダラしていたい。 そういった怠惰に押し潰されそうになりながら、あいつに言ってしまった手前、だらけて過ごすわけにもいかない。 散歩がてら一足先に行こうと、軽いリュックを背負った。 玄関まできた。 「………煙草吸ってこ」 はじめの一歩がなかなか踏み出せない人間って言うのは少なからずいるわけで、僕もその一人なわけで。 やっぱりダラダラと過ごしていたい欲に躓くもんだ。
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