あの頃の僕らにあったもの

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チューリップ、名前の知らないそこらへんに生えている花や、スイセン、蟻んこたちが動いている。 足を動かし続けた。 黄色の陽気に身体を包まれて、強い風に押されながら、少しの坂道を上る。 花見にしては遅すぎる、もう散っているだろう、なんて思っても、咲いたのは桜だけではないことを、僕は知っている。 上に気を取られちゃ、足元にある小さな春を踏んづけてしまうことを僕は知っている。 ただ忘れていただけで。 散った花びらを、少し残念に思いながら、桜の木が並ぶ場所へ来たが、やっぱり散った分だけ上には何もないもので。 辺りを見回した。 きっとピークはすぎたのだろう。 屋台のおっちゃんや、にいちゃんねえちゃん達は僕と同じように気だるげに休みを取っている。 彼らは、純粋に花見ができたのだろうか。
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