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無くさないようにといつまでも溜め込んでおくと、今度は身体ばかり重くなってしまう。
全くもって不自由なこの身体だけど、時々に純粋が拾えるなら、小さい僕たちの誰かが拾ってくれるだろう。
無くなってしまったものに対していつまでも嘆いている暇は、日々の「責任」が具現化して襲いかかってくるようになった僕たちにはないのだ。
「なにガキみたいなことしてんだよ!!」
唐突に下から聞こえた声に笑いがこみ上げた。
大きく息を吸い込んだ。
何かの花の香りと、懐かしいあの頃のにおいがする。
「やまっちゃんものぼってこいよ!」
「はあ!!?」
「気持ちいんだよ!!!」
「わざわざここまで来ただけでも疲れるんだぞ!」
「いーからこいって!」
二人で声を張り上げる。
ちくしょうとでも言いたげな顔で、のぼっていけそうなところをしぶしぶ探しているやまっちゃん。
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