三匹の犬~蜜・小太郎編~

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まぁでも私はそこまで深く考えていなかった。 どうせ見るだけだろう…と。 しかし夫がそのチワワを見つけると、可愛いとはしゃぎだし、抱っこもさせてもらい、まんまとペットショップの思うつぼにはまったのだ。 私も抱っこしたが、確かに可愛いが、「女の子は小麦が一番可愛いよ」と親バカ発言しかしなかった。 でも夫は聞く耳持たなかった。 私は、小麦を飼って小麦が大きくなってきたころから、男の子のチワワも欲しいなぁと思っていた。 そしてそれには理想像があり、色は絶対黒、目は青、そして名前は小太郎にしようと決めていた。 だから正直女の子はもう充分だったのだ。 それなのに夫は私の考えなど無視し、飼おうか本気で考えている。 夫の実家にはトイプードルが四匹居るので、きっと感覚がおかしいに違いない。 私はどうか飼いませんようにと願うばかりだった。 そして、私が「男の子なら…」とボソッと言うと、店員さんはすかさず、「まだショーケースデビュー前の男の子がいますよ!」と、頼んでないのに奥から小さい小さい赤ちゃんを持ってきた。 それは生後一ヶ月半程の、本当に小さな赤ちゃんで、しかも、色は黒、目は青と、なんと!私が欲しかった理想の犬ではないか! 私はこの子が欲しかった。 夫も一目惚れしてた。
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