馬鹿者とはいかに

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私は馬鹿だ。 あれをやろうとすればこれをやる、これをしなくてはというときでは別のことをする。 下らないことで悩み、その悩みが解決しないと夜は眠れなくなる。 毎日日記を書かなくてはその日一日何をしたのかも、何を食べたのかも忘れてしまう。 なので、夫にその都度聞くのだが、一回聞けば済むものの、数分後にはもう一度同じ事を聞く。 若干苛々したように夫は同じ事を言ってくれる。 しかしそのまた数分後に聞くのだから、いくら温厚な夫でも流石にキレる。 逆の立場なら私だってそうなるだろう。 夫に、「ちゃんと聞け!」と怒られるが、本人は至って真面目なのだ。 ちゃんと真剣に聞いてるのだ。その後忘れるだけで。 だから決して嫌がらせしているわけではない。 そんな私だから、もうそういうところは夫には見放されている。 私が尋ねても「はいはい」と言われるだけである。 しかし私は自覚があるだけマシである。これで自覚がない者は本当の大馬鹿者だと言えよう。 どうしてこんな私に友達はついてきてくれるのか、全く謎である。 面倒見のいい友人に尋ねると、「あんた一人にしたら何しでかすかわからないから、目が離せない」ということらしい。 私はこうして皆に迷惑をかけている。 そうして生きている。 だからこんな私に愛想尽かさずこの先付き合っていただきたい。
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