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ウチは自営業だ。
だから、俺は裏口からこっそり家に入った。
それから、音をたてないように、自分の部屋に入って、詰めていた息をようやく吐き出した。
普段から、帰ってきたときは裏口から入る。
だから、帰宅時間までここでじっとしていれば、バレることは無い。
ところが、俺がベッドに寝転がっていると、階段を上がってくる音が聞こえた。
俺は大急ぎで、起き上がり、何はともあれ押し入れに逃げ込んだ。
ドカドカドカいう足音は父さんのものだ。
押し入れの中で、体を小さくして、息を止めて様子を伺った。
ドカドカドカと、前を通り過ぎて、隣の部屋の扉を開ける音が聞こえた。
それから、しばらくして、またドカドカドカ・・。やがて小さくなった。
「はぁ・・・・」
我に返った時には、心臓は早鐘を打ち、脇の下にはびっしょり汗が滲んでいた。
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